そして山の頂上を踏みしめた。。。そこで目にしたものは(マウンテン放浪記)

一口目。
駄目だ。
　
紅い悪魔が不敵な笑みを浮かべながら甘い声で囁いてくる。
「どうせおまえには無理だろ。ふふふ。」
　
体は完全に拒否反応を起こし、手の震え、額からはじとっと脂汗、胃袋は収縮…。
　
しかし、俺は諦めなかった。
一歩ずつ、マウンテンのキツく険しい山道を無心で歩いて行く。時には落石に直撃しながら。
　
ついにマウンテンの頂上へ。
制覇。
溢れる涙、身体の芯のさらに奥から込み上げてくる嗚咽。頂からの景色は、真冬の日本海のように薄暗く、荒れ狂う波と砕けた波の白い泡しか見えなかった。
　
そう、本当の恐怖はこれから始まることを、俺は知るよしもなかった。